ペインクリニックは医療法人俊英会有吉クリニック/北九州市八幡西区菅原町

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泌尿器科

泌尿器科

診療日:木曜日 9:00~12:30

有吉クリニックでの泌尿器科診療と前立腺二次検診について

★前立癌検診(PSA二次検診)
北九州市の特定検診のオプションで、50歳以上は前立腺癌検診をお受けになれます。測定するのは血液検査で、前立腺特異抗原(PSA)を測定する簡単な検査です。このPSAの異常値や触診で前立腺癌が疑われる場合には、受診後早い時期に最新の MRI機器(1.5T)で精密検査を近隣施設でお受けいただくことができます。癌の確定診断である前立腺針生検前に MRI画像を撮影すると、針生検部位に関する正確な位置情報を知る上にきわめて有用です。特に癌が多く発生しやすい前立腺辺縁域においては、MRI単純撮影だけでも十分な診断が可能です。撮影時間はおよそ35分程度で、安静に寝ていただくだけで検査ができますし、画像撮影後は、放射線診断医で前立腺診断の経験豊富な専門医に診断いただき、その後、患者様に担当医より説明いたします。
泌尿器科担当医は、泌尿器科学会指導医・専門医で、これまで15年間に戸畑共立病院で1000例以上の針生検前前立腺 MRI画像を放射線科医と協議してきた経験があり、その画像情報と針生検の組織所見より、根治放射線治療の、外照射治療(IMRT)、密封小線源治療(Brachy)、サイバーナイフ治療(SBRT)で1000例以上の前立腺癌治療に携わってきました。ですから、前立腺癌と診断した後の治療法選択についても十分なご説明ができると思います。

★MRI検査後
①前立腺癌を疑う所見があり、針生検が必要と考えられた場合には、MRI画像に基づいた標的生検を実施いただくように、麻酔下に痛くない検査をお受けになれる施設へご紹介しております。
②前立腺癌を疑う所見がありますが、高齢あるいは抗血小板薬などの薬剤中止ができない患者様の場合には、画像所見によって前立腺癌と確定診断し、直後からホルモン剤内服薬の治療開始もできます。
③明らかな癌を疑う所見がない場合には、前立腺肥大症である可能性が高いので、針生検よりも定期的にPSA採血での経過観察での待機的針生検を薦めております。経過中、PSAが急激に上昇する場合には、再度MRI検査を実施すれば、前回との画像変化から針生検を行う部位を決めることができます。また排尿症状が強い場合には、前立腺肥大症の治療薬を内服いただき、前立腺を小さくすることでPSA値を下降させ、同時に排尿障害の治療もできます。
④前立腺癌のホルモン療法、根治手術や放射線治療後の患者様の場合には、治療後にPSAがゼロに近くなった場合には、治療中止のために以前の前立腺内の癌所見が消失したかどうか、あるいは骨盤内リンパ節病変の有無を調べることもできます。また、根治療法後のPSA再発の場合には、前立腺の局所再発なのか、あるいは骨盤内のリンパ節転移、骨盤骨への転移についてもMRIで病巣を検索することができます。その後、がん治療施設へご紹介することもできます。
施設によっては、前立腺針生検本数を15本以上に増やした多数生検法を行って、小さな癌を含めた診断がされることがあります。しかし、エコーやMRIなどの画像にうつらない小さな微小癌の多くは増殖速度が遅く、組織型によっては早期治療介入の必要性はないともいわれています。欧米では、MRIvisiblecancer(MRIで描出できる癌)という表現が広く浸透しており、臨床的に治療介入すべき癌は大きさ5mm以上といわれ、この検出はMRIで精度が高いことが米国で数多く報告されております。
本邦でもPSA二次検診では、針生検検査をお受けになる前に是非MRI検査をお受けいただきたいと思います。他施設ですでに針生検をお受けになり、癌が検出されなかった患者様(陰性生検後)では、PSA経過観察となりますが、その経過中に一度はMRI検査をお受けください。再生検前のMRI検査の有効生は前立腺癌診療ガイドラインでも推奨されておりますし、針生検しにくい前立腺部位(腹側)に癌が存在する可能性も考えられます。
現在は木曜日午前中の短い診療時間ですが、以上をお読みになった方は、診療について電話でのご予約をお願いいたします。

木曜日 泌尿器科担当 山田陽司

前立腺癌治療についての当院の考え

前立腺針生検を施行され、前立腺癌と診断された後の診断と治療について、ご紹介します。確定診断後には一般的にCTや骨シンチなどの画像診断が行なわれ、転移がないかどうか、いわゆる癌のStagingが行われます。さらに前立腺癌では、下に記載しました腫瘍のT分類(画像診断)、リンパ節転移の有無、転移巣の有無などの一般的なTNM分類よりも、治療法選択には、①診断時のPSA値、②針生検での組織型(Gleason score)、③画像診断でグループ分類される次のようなリスク群分類(NCCN分類)から治療法が選択されます。

ここでのリスク分類の意味は、初期治療(放射線治療や手術療法など)を行った後の再発のリスクが低いか高いか、の分類でして、通常、担当医はそのリスク群分類から適した治療法選択を説明します。
ここで、日本よりもはるかに症例数が多い米国(NCCN分類)での治療法選択で、特に早期がんであるPSA<10.0未満の前立腺癌の治療法はどうなっているかみてみましょう。以前から、低リスク群前立腺癌(GS3+3=6)は、急ぎ治療を行わず、監視療法という考え方があります。これは、前立腺癌と診断されても、何の治療もせずに定期的に PSA検査と直腸指診、前立腺針生検を行って、患者様の癌が増悪すれば治療を行うとする考え方です。しかし、本来低リスク群とは画像で見えない小さな転移はなく、前立腺被膜浸潤もほとんどないため、根治療法を行えば、治癒率は95%以上と高い(放射線治療の場合)ことが証明されており、低リスク群には密封小線源治療が適していると評価されています。
PSA>10.0となると中リスク群になりますが、低リスク群と比べて、手術療法、放射線治療いずれの場合でも治療成績が低下することが分かっています。つまり、監視療法で一旦PSAが上昇してしまうと、画像で見えない微小転移が増大する可能性が考えられ、その時点から治療開始しても、根治性が低くなり、将来、癌治療を追加しないといけないことが、英国のProtec Trial(2016)で証明されております(N Engl J Med 2016; 375:1415-1424)。つまり、低リスク群は、根治性が高く、副作用が少ない治療を適切に受ければ、前立腺癌を治癒に導くことができるのです。それには、以下のガイドラインに示されたような外照射療法(EBRT)または密封小線源治療が適していると考えます。

上のガイドラインでは、監視療法の次に推奨されているのは、ロボット支援を含む手術ではなくて、EBRT(外照射療法(IMRTやサイバーナイフ治療)または密封小線源治療(前立腺内に放射線線源をインプラントする)なのです。ロボット支援手術を含み手術療法よりも推奨度が高いのは、有害事象が少なく、有効率が高いことがすでに証明されているからです。

次に組織型がGS3+4=7、またはPSA>10.0となる中リスク群ではどうでしょうか。組織型で7点というのは、少し低リスク群よりは治しにくいのですが、下にある予後良好中リスク群とは、生検での陽性本数が少なく、GS=3+4の場合には、NCCNの推奨は、これまで米国での多くの施設での治療症例の結果を反映し、低リスク群同様に放射線治療の方が、手術よりも推奨度が高いとされています。

日本人は、癌に罹患したといえば、手術でとってしまいたいという考え方は以前からありますが、放射線治療では、動きが少ない臓器(脳腫瘍、前立腺癌)では従来では考えられない高線量の放射線治療を行うことで、きわめて根治性が高い治療が可能となってきています。当院の泌尿器科外来担当者(木曜日:山田陽司)は、現役の戸畑共立病院の泌尿器科診療部長で、15年間で1000例以上の前立腺癌の根治放射線治療を担当してきました。放射線治療は下のように、適用されておりますが、外照射療法や、密封小線源治療、最近ではサイバーナイフ治療についても、十分ご説明することができます。低-中リスク群前立腺癌の患者様には、手術ではなくて、最新の放射線治療によって完治する可能性がありますので、前立腺癌治療の選択でご心配な患者様は、当院を受診ください。

当院を受診される患者様は、①診断時のPSA値、②画像診断の結果、③生検された組織診断所見、④その後のPSA数値の変化、が分かれば、どのような治療がふさわしいか、ご説明できると思います。
当院の受診希望の患者様は、093-645-1310までご予約をお願いします。

文章責任:木曜日午前担当:泌尿器科 山田陽司